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第一話 繰り返す思い出 第2節
女の子の髪の毛は濃い黄緑色で、足は素足で靴を履いていなかった。
僕はたぶんこの花を撮るときに、花にピントをあわせるべく、いろいろとカメラの操作をしていたので、その場では気が付かなかったんだと思う。
しかも、その女の子が写っていたのはそれ1枚きりだったので、ますます撮影のときには気が付かなかったんだろうと思う。
(これって、もしかすると花の妖精なんじゃないか?)
僕はデジタル一眼レフのカメラの機能を使って、その妖精(?)の女の子を拡大してみた。
すると、カメラの方を見て、わずかに微笑んでいるのが見て取れた。
(えっ?!これって、カメラを意識している?)
僕は更に驚いて、この事実を誰かに伝えたくなった。
(インスタに、この状況と一緒に投稿するか?...あー、でも、それだと単にCGの合成写真としか思われないかもしれないな...)
この妖精らしき女の子を撮影した花がどこらへんに咲いていたものなのかは正確には覚えていないが、もう一度同じ場所に行っても、また再び妖精に遭遇することは難しいと思われた。
(でも、誰かに伝えたいな...)
そのとき、僕の脳裏に浮かんだのは、やはり彼女『羽間谷 百合菜』の姿であった。
彼女は僕より3歳年下の25歳で、僕は背がそれほど高くなく165cmくらいなんだけれど、彼女の背は僕よりも5cmほど低い160cmくらいなんだ。
彼女とは、まだ駆け出しのSEの頃にプロジェクトの協力会社のメンバーの一人として一緒に仕事をしたのだけれど、その物件はかなりトラブって深夜遅くまで作業をして、ようやくシステムがうまく動き出したんだ。
ところが、その工場というのが、また辺ぴなところにあって、僕と彼女はその工場を出た後に、泊まるところが無いかといろいろとビジネスホテルを探したけれど見つからず、かといってラブホテルに入るわけにもいかず、仕方なく24時間営業のファミレスに入り、夜が明けるまでそこで軽く食事とお茶をしながら、いろいろと話しをしたんだ。
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