警視総監 小塩壮太郎

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警視総監 小塩壮太郎

俺宛に、差出人名が書かれていない封筒が届いていた。中には、 『ワタシハスベテシッテイル アノコトヲスベテ』 と表記されている紙が一枚入っていた。 誰だ。こんなものを送ってきたのは。 イタズラか?ドラマの見すぎだ。こんなやり方は。 ご丁寧に一文字一文字、新聞や雑誌の切り抜きで文章を作ってやがる。無駄な努力、ご苦労さん。 俺は、この文章を見た最初の印象は、ただのくだらない物としか思わなかったのが、何故か妙に引っ掛かる点がある。 それは、何故、全て片仮名なのだろうか? 別に、平仮名でもいいだろう。 平仮名のほうが、新聞や雑誌で使われている文字数は圧倒的に多いはずだ。 単に、こだわりか?それとも、片仮名にすることに意味があるというのか? そんなことを気にする、俺のほうがおかしいということなのか? 長年、警察にいるせいか、無駄に考えすぎてしまう癖がついてしまっている。何かにつけて、全てに意味があるのではないかと、疑ってしまう。 ただのイタズラだとしたら、本当に無駄な労力だ、馬鹿馬鹿しい。 ただのイタズラだとしたら、あまりにもくだらなすぎる、馬鹿馬鹿しい。 ただのイタズラだとしたら、こんなことをして、何が楽しいんだか、本当に愚かだと思う。
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