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衆議院議長 比留間寛太郎
俺宛に、差出人名が書かれていない封筒が届いていた。中には、
『ワタシハスベテシッテイル アノコトヲスベテ』
と表記されている紙が一枚入っていた。
アノコトだと?一体、何のことだ。
誰が、こんなものを送ってきたというんだ?何を知っているというんだ?
俺は過去、仕事柄、表には出せないようなことは、いくつかはしてきた。それは、認めるしかないだろう。
衆議院に初当選した時は、高い志と清い心を持っていたが、数年もすぎれば、周りを蹴落とすことにしか、頭がまわらなくなっていた。そうでもしないと、こちらが危うくなってしまうからだ。
周りを蹴落とすために、ありもしないことをでっち上げたり、その事を材料にして脅したりもしてきたことは何度かある。その為の帳尻合わせや、口裏合わせは完璧にしてきたつもりだ。
その為に、金はだいぶ使ってしまったがな。
今となっては、俺がいるお陰で、我が政党が与党になったと自信を持って言える。だから、これまで俺がやってきた事は、我が政党にとって、必要なことだったんだ。
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