衆議院議長 比留間寛太郎

1/19
121人が本棚に入れています
本棚に追加
/385ページ

衆議院議長 比留間寛太郎

俺宛に、差出人名が書かれていない封筒が届いていた。中には、 『ワタシハスベテシッテイル アノコトヲスベテ』 と表記されている紙が一枚入っていた。 アノコトだと?一体、何のことだ。 誰が、こんなものを送ってきたというんだ?何を知っているというんだ? 俺は過去、仕事柄、表には出せないようなことは、いくつかはしてきた。それは、認めるしかないだろう。 衆議院に初当選した時は、高い志と清い心を持っていたが、数年もすぎれば、周りを蹴落とすことにしか、頭がまわらなくなっていた。そうでもしないと、こちらが危うくなってしまうからだ。 周りを蹴落とすために、ありもしないことをでっち上げたり、その事を材料にして脅したりもしてきたことは何度かある。その為の帳尻合わせや、口裏合わせは完璧にしてきたつもりだ。 その為に、金はだいぶ使ってしまったがな。 今となっては、俺がいるお陰で、我が政党が与党になったと自信を持って言える。だから、これまで俺がやってきた事は、我が政党にとって、必要なことだったんだ。
/385ページ

最初のコメントを投稿しよう!