転嫁 【改正版】

財務大臣 木津直太郎

俺宛に、差出人名が書かれていない封筒が届いていた。中には、

『ワタシハスベテシッテイル アノコトヲスベテ』

と表記されている紙が一枚入っていた。

なんだ、これは。
脅し？間違いない。脅し目的だな。

雑誌や新聞の切り抜きで、一文字一文字ずつ張り付けて文章を作っているところを見ると、身元を隠すためだな。

臆病な奴なんだろう。そんな臆病な奴が、よく脅しなんてことをしようと思い付いたものだ。だが、こんなこ面倒なとをしなくても、パソコンでやればすぐに終わるものを、どんくさい奴だ。これこそ、無駄な努力というものだ。
この封筒を送ってきた者は、どんくさいだけでなく、頭も悪い。今回の封筒の内容だけでは、どこに、どのように反応すればいいのか分からないではないか。

当然、反応がなかったら、この封筒の送り主は、もう一度何かしらの封筒を送ってくるはずだ。

こういった脅しの文書を郵送する場合は、出来るだけ少ない回数で完了させなければならないんだ。回数が増えれば増えるほど、足が着きやすくなるし、ボロが出る可能性が上がっていく。

今の段階では、何もしなくても、問題はないはずだ。