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コタさんまで巻き込んでしまった。ディナータイムと重なって忙しいのに申し訳ない気持ちになる。
まったく、わたしはなにをやっているのだろう。冴島さんに直接聞けばいいのに。どんな答えでもそれが事実なら受け止めなくてはならないんだ。
だからといって、今のわたしにはその覚悟がないのだけれど……。
「あの……、やっぱり帰ります」
「なんで?」
野上さんが冷静にわたしを見据える。逃げようとしているのがバレバレだ。
「自分で解決します」
「それができないから僕を頼ろうと思ったんだよね? 自分で気づいていないみたいだから言うけど。かなり思いつめたように見えるよ」
「えっ……」
またも言われてしまった。なんですぐに顔に出てしまうのだろう。
ちゃんとがんばっているつもりなのに。しっかりしなきゃと思えば思うほど、ぐだぐだになっていく。
いたたまれなくなっているわたしにコタさんが力強く言った。
「遠慮せずに言ってごらんよ。俺らは咲都ちゃんの味方だよ。冴島って格好つけのとこがあるから、たまに面倒くさいときがあるんだよな」
「そうだな。負けず嫌いで強情で、おまけにプライドも高い。僕たちのなかで一番器用で自由に生きているように見えるのに、実はしがらみや理不尽な圧力でがんじがらめだから、仕方ないと言えばそうなんだけど」
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