8.信じる力

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 頼んだ料理は完食。野上さんにも「気持ちいいね」とほめられる(?)ほど。  食事を終えて帰るとき、厨房にいたコタさんを呼んできてもらい、もう一度お礼を言う。 「ごちそうさまでした。今日はご厚意に甘えさせていただきます。その代わり、今度は母と食べにきますね」  会計のとき、紅葉さんにコタさんのおごりなのでお金はいらないと言われた。そのためどうしても直接お礼を言いたかった。 「いつでもおいで。俺、今彼女募集中だから、冴島に飽きたら声かけてよ」 「えっ!?」 「コタ……」  野上さんが軽蔑した目でコタさんを見る。 「冗談だって。咲都ちゃんはそんな子じゃないもんな」 「本当か? 本気で口説こうと思ってないか?」 「野上、顔こえーよ。マジになるなって」  野上さんはやさしいだけじゃなく、まじめな人なんだなあ。  コタさんはおつき合いしている女性はいないようだけれど、野上さんはどうなのだろう。女性を大切にするタイプのように思うから、きっと野上さんの彼女は幸せなんだろうな。  わたしは漠然とそんなことを思いながら、その日は帰路についた。
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