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頼んだ料理は完食。野上さんにも「気持ちいいね」とほめられる(?)ほど。
食事を終えて帰るとき、厨房にいたコタさんを呼んできてもらい、もう一度お礼を言う。
「ごちそうさまでした。今日はご厚意に甘えさせていただきます。その代わり、今度は母と食べにきますね」
会計のとき、紅葉さんにコタさんのおごりなのでお金はいらないと言われた。そのためどうしても直接お礼を言いたかった。
「いつでもおいで。俺、今彼女募集中だから、冴島に飽きたら声かけてよ」
「えっ!?」
「コタ……」
野上さんが軽蔑した目でコタさんを見る。
「冗談だって。咲都ちゃんはそんな子じゃないもんな」
「本当か? 本気で口説こうと思ってないか?」
「野上、顔こえーよ。マジになるなって」
野上さんはやさしいだけじゃなく、まじめな人なんだなあ。
コタさんはおつき合いしている女性はいないようだけれど、野上さんはどうなのだろう。女性を大切にするタイプのように思うから、きっと野上さんの彼女は幸せなんだろうな。
わたしは漠然とそんなことを思いながら、その日は帰路についた。
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