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「野上の女性関係に口を出すつもりはないけどさ、うちの会社ではやめてくれ」
「それは瑠璃に言ってくれよ。僕は無理やり彼女に押し倒されたんだよ」
「嫌なら本気で抵抗しろよ、男なんだからさ。ていうか、おまえも相変わらずだなあ。女なら誰でもいいのかよ?」
「誰でもいいわけないだろう」
「野上が言っても説得力ゼロだな」
あのまじめそうな野上さんが実は女たらしなの?
「社長ったら、随分と失礼なことをおっしゃるのね。女なら誰でもいい? そんなわけないでしょう。このわたしだからよ」
瑠璃さんがドヤ顔で言う。
冴島さんはやれやれといった顔をしていた。
「君のその自信はいったいどこからくるのかね。いまだにわからないよ」
「自信もなにもそれが事実よ。男はみんなわたしの虜になるの。次々に口説いてくる男をさばくのが大変なくらい」
「なにを言ってるんだか」
とうとう冴島さんがあきれ果てたようにため息をついた。
「社長だって、わたしが本気になったら秒殺されるわよ」
「されないね」
即答だった。
「社長はわたしの価値をわからないの?」
「わかってるよ。だから君をこの会社に引っ張ってきたんだろう。高い能力があるのに、この世に自分になびかない男がいることを、なんでわからないかな?」
「これまでそんな男がいなかったからよ。この美貌に惹かれない男がいたら、それはクズ以下よ」
瑠璃さんは赤い唇を舌なめずりする。
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