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冴島さんを責めるつもりはまったくなかった。そうじゃなくて、わたしが言いたいのは……。
「今回のことを反省して、今度からは必要なときは自分の気持ちを正直に口にしたいと思います。……会いたいとか、声を聞きたいとか、我儘もあるかもしれないんですけど」
うわぁ、この場の勢いで、言う予定のなかったことまで言ってしまった。冴島さんに引かれたらどうしよう。
すると冴島さんが安心したように頬をゆるめた。
「めちゃめちゃうれしいよ。僕も正直に言うよ。実はここのところ自信をなくしていたんだ」
「冴島さんがですか?」
「うん。本当は、自分で思っているほど春名さんに好かれていないのかも、春名さんのやさしさを好意だと勝手に勘違いしていたんじゃないかって」
冴島さんがどうして? わたしの態度がそんなふうに思わせてしまったの?
「でも気持ちを聞けてほっとした」
なんだか信じられなくて冴島さんの顔を見つめることしかできない。
やだ、どうしよう。冴島さんには申し訳ないけれど、これってすごくうれしいかも。そう思ったら、次第に興奮してきて顔がどんどん熱くなってくる。おまけに汗もふき出してきた。
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