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肩を抱かれ、わたしも冴島さんに寄りかかるようにして肩にちょこんと頭をのせた。
冴島さんは他愛もない話をしてくれた。朝ごはんは食べない派だけれど、牛乳が好きで毎朝必ず飲んでいるとか、仕事から帰ったら観葉植物に話しかけながら霧吹きで葉っぱに水をかけてあげているとか。
「パキラやポトスは葉っぱにほこりがたまりやすいので、霧吹きで水をかけるとき、ときどきでいいのでやさしくほこりを取り除いてあげてください」
「わかった、今度からそうするよ」
こうして話していると不思議と緊張がほぐれていった。きっとこうやって少しずつふたりの関係が変化していくのだろう。そんな気がした。
のんびりと過ごすこの時間は心地いい。仕事の疲れなんて吹き飛んでしまうし、活力がわいてきて明日もがんばろうと思える。
「咲都、時間は大丈夫?」
「時間?」
「あと十五分で十二時になるよ」
「もうそんな時間!?」
慌てて身体を離す。
時間が過ぎるのをあっという間に感じる。いつも一日が二十四時間じゃ足りないと思いながら過ごしているけれど、それ以上の速さだ。
明日の早朝は切り花の仕入れに行かなくてはならない。残念ながらタイムリミットだ。
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