5.この想いを届けたとき

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 約束の土曜日。今日は冴島社長の誕生日。  夕方、早めに店をあがらせてもらい、代わりに塔子さんが店に入った。  塔子さんに事情を説明したとき、そりゃあもう大変なはしゃぎっぷりだった。「孫の顔を早く見たいわ」と言い出す始末で、あきれるばかり。  別につき合うことになったわけじゃないし、向こうだってそういうことまで考えていないかもしれないのに。  店の奥にある事務所で、手持ちの普段着の服で一番高いワンピースに着替え、髪とメイクを整える。姿見がないので卓上の鏡でなんとかチェックした。 「大丈夫かなあ」  服装もそうだけれど、知らない人ばかりのところにおじゃまするのはかなり緊張する。  誘われて浮かれている場合じゃなかった。  大学時代といっても冴島社長のお友達ということはセレブばかりなんじゃないだろうか。 「はぁ……」  無意識にため息がもれた。  するとそこに塔子さんが入ってきたので、慌てて口を閉じた。 「どうしたの? せっかくのデートだっていうのに」 「デートじゃないから。それより、この服おかしくない?」
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