傘の行方

一日目

「か、傘がない！」

傘立てに自分の傘が無くなっているのを見て、愕然とする。

朝は晴れてたから、傘を持って来なかった奴が持ち去ったのだろうか。

俺は天気予報で夕方から雨が降ることを知っていた。

傘立てには、一本も傘が残っていないところを見ると、間違って持っていったとは考えにくい。

やはり、誰かが故意に持ち去ったとしか思えない。

このまま走って帰ろうか。

いや、このどしゃ降りの中帰ったら、確実に風邪を引きそうだ。

かといって、雨はいっこうに止む気配はない。

どうしよう･･････。