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高校の同級生、会社の後輩、上司と立場を変えながら私とナナは長い時間近くにいた。それまでが長すぎたから今の新しい関係がしっくりしないのだろうか。私自身もナナにどう接していいのかいまだによく分からないでいる。
それにナナの態度を見ていると、私がナナのことを好きだと確信しているように見えるのだ。私の気持ちを確信していてからかったり、はぐらかしたり、怒らせたりする。
私が「あいしてる」と言われても尚、ナナの気持ちをつかみきれないでいるのに、ナナは余裕の態度を見せている。それがムカつく。
これを解決する方法が簡単だということは知っている。ナナに私のことをどう思っているのか聞けばいい。これから先どうしようと思っているのかを聞けばいい。ただそれだけのことだ。
ナナは自分からあれこれと話をする方ではない。けれど聞いたことにはきちんと答えてくれる。私はそれを知っている。
だからこそ私はナナに聞くことができずに、こうして悶々と悩んでしまう。私がナナに質問をすれば、それが私の望まない回答であったとしてもナナははっきりと答えてくれる。望まない答えが返ってくることが怖くて私はそれを先送りにしている。
だから私はナナのそんなところが嫌いだ。私が聞かなくても大切なことはナナから伝えてほしい。けれどナナはそうしてくれない。私はナナの言葉が聞きたくていつでも不安なのに、ナナはそんなことも気にせず飄々としている。そんなところがムカつくのだ。
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