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ハケンの品格?
就活をしている中で、人材派遣会社にも登録した。
履歴書は持参していったが、一から学歴、職歴を手書きで記入した。
これは、自分の資質をどれだけ把握しているか、手書きの文字がどの程度か見るためなのか? と思いながら書き込んでいった。
何せ道草の「知らざあ言って聞かせやしょう」の章でも書いた通り、渡る生業数知れず、なのだ。結構、転職している。6社分の記入欄があったが、主な就業先だけで埋まってしまう。細かい短期間のアルバイトなどを書き出したら、きりがない。
そこに、退職の理由を書く欄があった。ははあ。派遣会社としたら、契約期間内は勤務を全うできる人材でないと困るわけだな。誓って言うが、仕事が嫌になって辞めたことはない。まあ契約更新にならなかったことはある。使い物にならないから、お払い箱になったと認めたくはないが、元々マッチング率が低かったと思う。合わないところで頑張っても苦しいだけだし、切ってもらって良かったのだ。そして、転んでもタダでは起きない。この辺でもがき苦しんだところは、ちゃんと自作に転換している。人生、回り道に見えても、ムダなことはない。
するってぇと何かい。
いくつも渡世を繰り返したってぇのは、そこで見聞きしたことで感じることがあっただろって?
そこんとこを書けってことかい。
そのままを書くのは差し障りがある。けれど、中に入らなければわからなかったこと、感じなかったことは、実感した。経験に勝る知識無しだ。
登録したその日には、これだと思う働き口が無かった。それで後日、電話がかかってきた。けれど、始めはどこからの電話かわからなかった。
「#¥+〒*&$の山川です」
んんんん? 何ですと?
辛うじて聞き取れた名前で、先日派遣登録した時の担当の方ではないかと判断した。続く話も就職の進捗状況を尋ねる用向きだったので、話を合わせた。だが早口で、半分しか頭に入ってこない。この人はコーディネーターだ。仕事をする上で、何かと損をしているのではないか。そのことを言ってあげた方がいいのでは? いや、かなりのお節介だ。それにアドバイスは信頼関係が築かれているからこそ、受け入れられる。そんなことは周りにいる上司が言うべきことだ。私が言ったところで、素直には聞いてもらえないだろう。そう思い、その日の電話では言及しなかった。
また後日かかってきた。その時もよく聞き取れなかった。
私は心を決めた。
話が終わった時に「あの、ひと言いいですか?」と切り出した。
「もうちょっとだけ、ゆっくりお話されるといいと思いますよ」
一瞬間があり「あ、は、はい!」と返事がきた。
どう受け取ったかは知らない。反感を持たれて終わりかもしれない。
私は社会に出てから、何人もの人にアドバイスされ、時には叱咤されて生きてきた。人に何かを言うのは勇気が要る。私を思って言ってくれたことだ。その言葉で、磨かれてきた。
だから私もアドバイスを……などとは考えていない。悦に入ってるわけでもない。派遣の人がどう思ったなんて、いいんだ。
さて、ステイホームと就活が重なり、ゆったりめの生活に慣れてしまった。
かなりのロングバケーションとなった。
私は社会復帰できるのかなあ。
またの報告を乞うご期待。
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