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YOUめは何しに私の心へ
『YOUは何しに日本へ』というTV番組がある。
スタッフが空港で外国人に突撃インタビューし、日本に来た理由を聞く。その来日目的が面白そうだったら、密着取材をする。
本来の放送時間がいつなのかは知らない。福井では、週遅れで放送している。昼時に入るので、ご飯を食べながら、そのチャンネルになっていたら見るという感じだ。
先日のYOU(番組では来日外国人をそう呼ぶ)は、日光に近い、ある温泉ホテルを探していた。40歳ぐらいの女性だ。それが、ホテルの外観は記憶している通りなのだが、名称が違っていると言う。昔を知っている従業員に尋ねてみると、やはりホテルの名前が変わり、改装もしていた。
そのホテルには大きな宴会場があり、かつてはステージで各国のショーを披露していた。その女性は20歳の頃、ロシアから来日し、半年間滞在してそこでショーに出演したのだそうだ。
「あそこに、大きなピアノがありました」
懐かしそうに見回している。当時、言葉も何もわからない彼女に従業員の人達は優しく接してくれたそうだ。その気持ちが忘れられず、再度来日しお金を貯めて昨年沖縄に小さなホテルをオープンした。
「私も、おもてなしをしたいと思ったのです」
そう語っていた。
彼女にとっては、夢のきっかけになったホテルへの、お礼参りだったのだ。
ああ、まただ、と思った。
私はたまたま見たTVや新聞、本で心を動かされることがよくある。
それも、その時疑問に感じていることや、もやもやくすぶっていることへの回答だったりする。
神様がどこかで私のことを見ていて、啓示をくれているのか?
きっと私がぐるぐると、堂々巡りを始めたからだ。
神様は「ええい、またこやつか。これでも見ときなさい」と『わかりやすい実例集』の中からピックアップしてくれたのかもしれない。
あきらめようとしても、忘れようとしても、心の中からてこでも動かぬものがある。それが夢だ。
希望の光が見えたと思いきや、すぐに厚い雲に覆い隠されてしまう。
雲は何?
昔、何かをしようとすると、父にことごとく否定された。それも言わば『雲』の一つだ。苛立ったけれど、反対を跳ね返してでもやりたいことか、自分の本気度が測れた。
今は何だろう。世間の常識? 自信の無さ? それで悩み、苦しみや辛さになる。
でも、いい加減なものや軽い気持ちだったら、そこまで本気に悩むかな。
夢は叶えたい。できれば早く実現したい。
でもその道程が長くても、それはそれで自分の血や肉になっている。
そして、物書きは因果なものだ。悩んで苦しんだら、それを小説に投影して書こうとする。かなりのM体質だ。いや、自給自足か。
今年も相変わらず、じたばたするんだろうなあ。
まあ、じたばたとでも羽を動かしてさえいれば、夢にたどり着くかもしれないしね。
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