今、何どき?

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今、何どき?

 朝の情報番組でも、話題は新型コロナ関連だ。  広瀬すずちゃんは、家にいて、今までできなかったところのお掃除をするのに、はまっているとのことだ。 「浴室の天井とか、ビショビショになってもいいTシャツ着て、こすってます。きれいになると気持ちいい」  えらいなあ。  ふと、お茶を沸かそうとしていたやかんの汚れが目につく。油汚れ落としやクレンザーを使い、ピカピカにする。私のにんまりした顔が映る。  おっといけない。もうすぐ朝ドラが終わる。今日は9時から、歯医者さんに予約してあったんだったと思い出す。歯磨きをする。  歯科医院は4階にある。エレベーターを使う。私より年上の女性と同乗になる。マスクをしているとはいえ、「4階をお願いします」と告げる声が控えめになる。日常で、やむを得ずエレベーターを使用する人は、大変だ。  入口のドアは、開け放たれている。入る前に、手を除菌する。  体温計を渡されて、体温も測った。  口の中を治療するのだ。歯科医院は神経質になるだろう。  さて、治療は、大工事だった。  被せてから、何年も経っている奥歯があった。被せ物は劣化し、下の部分が虫歯になっているとの診断だ。他の歯医者さんなら、インプラントを勧めるかもしれない。でも、この若くて熱心な先生は、また画期的な治療法を告げた。両脇の歯に針金をブリッジのように固定し、真ん中の歯をつるし上げて、歯根を引き上げるというのだ。3か月かかるらしい。  しっかり磨いてきたつもりだったが、磨き残しがあった。先日、先生にブラッシング指導までしてもらったのに、面目ない。やかんなど磨いている場合ではなかった。  かなり時間がかかっていると思ったが、受付に出てくると、時計の長い針は40分を指している。よく見ると、10時40分だった。どうりで、腰が痛くなるはずだ。  疲れた。家に帰ると、昼前だというのに、しばらく寝てしまった。  鏡で口の中を確認する。針金が見える。治療中に先生が指示していた。 「スコッチボンド取って」  ああ……これか。ボンドでくっつけてあるのか。  口の中にこんな針金があるのでは、食べ物がはさまりそうではないか。ちょうどいい。食べにくくて、ダイエットになるかもしれない、とほくそ笑む。だがそれも片時のことで、昼には普通に食べていた。自分の適応能力に歯噛みする。ああ、そうだった。噛んでも違和感無いように、先生は噛み合わせを吟味してくれたのだった。ぎりぎりと、また歯噛みする。    先日、食洗器のレバーが動かなくなった。パントリーの棚板の留め具が破損した。冷蔵庫の自動製氷機のモーターも効かなくなった。  家を建て替えてから、今年で10年になる。どうやらメンテナンスの時期らしい。  私のスケジュール帳の予定は、歯医者の予約のみだ。私もメンテナンス期間なのか。外に出られない今、家に居ることになったのは、何かの巡り合わせなのか。今までおざなりにして来たことを片付けなさいと?  いやいや神様は、そんなに優しくないはずだ。  仲間に執筆すると宣言する。口に出したら、書くしかない。その友だちと、お互い書籍化の折りには、帯を書くと約束する。無名では、帯の価値はない。  今はきっと、書く時間なのだ。

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