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オタクのあたしはみんなには「いらない子」だ。
だからあたしは赤いルージュを身にまとう。
派手な明るい女の子になりきる。髪も巻いて、染めて……。
そうすればみんなと笑えるから。
「ミチルはかわいいよねー」
「ありがとう!」
「本当、明るいし元気だし。姫野って苗字もよく似合う」
「えへ」
「それに対して八王子は……」
そう言って友人は教室の隅に座る男子を見た。
「八王子高貴ってん名前はないわ……はちおうじ、こうき……どこがやねん」
(確かオタクだっけ……隠さないからそうなるんだよ。あたしみたいに隠れればいいのに)
何で、ありのままでいようと思うのだろう。
そう。あたしは。高校生になり県外へ行って何もかもを変えた。
放課後のあたし以外は。
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