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一の目:木下汐里①
今日も私は22時台の電車に揺られながら、家路についていた。
いつもと同じように、そんなに読みたくもないアスパルテームの論文を片手に。
アスパルテームというのは砂糖の200倍甘いと言われる甘味料で、なぜだかわからないけど私の卒業研究のテーマなのである。
卒業論文を書くにあたって、知識を深めるために、そして研究内容に生かすために、アスパルテームに関する論文をたくさん読まなければならないのだ。
こんなの、本当に将来役に立つのだろうか。
実験疲れの眠い目を擦りながら論文に目をやるが、内容はほとんど頭に入ってこない。
周りから見たら英語論文を軽やかに読む聡明な女子大生に見えるのかもしれないが、そんなことは決してない。
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