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「は?」
時計だと? そんなものさっきから穴があくほど見ている。
消えた三時。そして俺のロレックスの文字盤の数字はどこにいった?
疑問に思うことは山ほどあるが、頭の知的レベルをこいつらと同等とは思われたくはない。断じて思われたくない。
そう思った高藤は、あえてついさっき気づいてしまった怪奇現象のことには触れず、とぼけた様子で聞き返した。
「時計が……どうしたんだ?」
その言葉に相手は、やれやれといった具合に両手を広げる。
……なんだこの俺の方がバカにされている気分は?
そんなことを思い、高藤がますます目を細める。
「部長、そんな立派な腕時計をつけてるのに何も気づいてないんですね。三時ですよ三時。ついさっき、世界から三時が消えたんです」
「……は?」
町田も電話の向こうで随分バカなことを叫んでいたが、今目の前にいる相手はモンスター級にバカなことを言っている。
世界から三時が消えただと? 何を言っているんだコイツは。
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