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あまりに呆れ返った高藤は、口を半開きにしたまま固まっていた。
声を出そうにも、寝ぼけたことをこうもサラッと言われると、どう突っ込んでいいのかわからない。
そんな高藤を気にする様子もなく、二宮は話しを続ける。
「まさかこんな事態になるなんて……本当に困ったものですよ。まあおかげで私は永遠に美貌を保つことができますが、世間じゃもう大パニック。テレビのニュースもラジオもネットも、『三時はどこにいった?』てみんな騒ぎっぱなしです」
騒ぎたいのはこっちの方だ。なんだその小学生に聞かせるような意味不明な作り話は。
それにテレビもラジオもネットもって……、こいつ絶対営業行かずにずっとサボってただろ。
どこから怒ればいいのかわからず、高藤は大きくため息をつくと自分の椅子にガバッと腰をかける。
この調子だと頭の悪い二人の部下のせいで、自分の頭もおかしくなったしまいそうだ。
そう思った高藤はデスクに両肘をつくと頭を抱えた。
「俺は認めないぞ……そんな馬鹿げたこと認めないぞ……」
まるでお経を唱えるがごとく、高藤はブツブツと呟いた。すると相手は何の許可もなく、自分のデスクに腰をかけてくるではないか。
「部長、この世界の何かが狂い始めていますよ。そう、決して狂ってはいけない何かが……」
狂ってるのはお前の頭だ。そう叫びたくなるのを堪え、高藤はわざとらしく咳払いをすると、ゆっくりと口を開いた。
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