わたしの部下はバカばかり

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「お前も町田もいい加減にしろ。どうせそんな馬鹿げたことを言って本当は仕事をサボりたいだけだろ! いいな? 三時からの商談はかなり重要なんだ。この商談次第で今後の我が社の行く末は決まってくるんだ! なのに町田は遅刻しそうになってるし、お前はお前で意味のわからんことを言い出すし……」  怒りを露わにする高藤に、二宮は怯えるどころかケタケタと愉快そうに喉を鳴らした。 それを見て、高藤がダン! と勢いよくデスクを叩く。 「何がおかしい! これで商談がボツになったら、お前だってタダじゃ済まないんだぞ!」 「わかってますよそんなこと。でもね部長、三時が消えたということは、それどころじゃないんです!」  突然真面目な顔つきになった二宮が、声色を強めて言った。その真剣な顔つきに、高藤は思わず口を噤む。  コイツ……こんな真面目な表情できたのか。  こんなところで部下の意外な一面を知り、高藤はゴクリと喉を動かした。  万が一……万が一、コイツが言っていることが本当なら、たしかにそれは大変だ。どんなふうに大変なのかは未だ想像がつかないが、まさか二宮のやつ、そこまで考えているとでもいうのか?  高藤の心境を察したかのように、二宮はふっと息を吐き出すと、おもむろに話し始めた。 「いいですか部長、三時が消えたということは嘆き悲しむのは私たちだけではありません。子供たちだって同じです。我が社が重要な商談を控えているように、彼ら彼女らには大切なおやつの時間が控えていた……。それを失ったあの子達の気持ち、あなたは考えたことがありますか?」 「…………」  一瞬でも二宮のことを見直そうとした自分を殴りたい。高藤はそんなことを思い、ぎゅっと拳を握った。それでも相手はこちらのことなど気にせず話しを続ける。
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