第二章 輪廻の種子・麗しの舞姫

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 円形造りの大広間の、飾り燭台の灯下で民族衣装を纏った大勢の男女が、金糸の豪奢な絨毯に腰を下ろしている。  目の前には鶏豚牛羊などの肉料理や魚介料理、西瓜、メロン、林檎、マルメロ、蜜柑、天人花(てんにんか)の実などが多くの水菓子に古い葡萄酒。  食卓に飾られた薔薇、アネモネ、天人花が香りを添える。 「がははははっ‼ここの料理はまっこと!天下一品じゃわいぃ!!」  以前からシェラカンドと交易のあるジャービル王が葡萄酒をあおる。  アーチ状の大きな柱の間から覗く紺青の空。  酒池肉林に皆、ここが砂漠のど真ん中であることをすっかり忘れていた。  男たちは絹布(カフィーヤ)で頭や顔を覆い、カンドゥーラやシャルワニの様な服を着込み、腰帯(ベルト)三日月刀(ジャンビーヤ)を差している。  女たちは頭にベールを付け、濃い目の化粧を施し、宝石のあしらわれた金銀細工で自身を飾り付けていた。  上下に別れた衣は大部分が透けていて胸の先端と陰部のみ当て布で隠されている、かなり際どいつくりだ。 「お久しゅうございますわ、ジャービル様」  酔いが回り始めたジャービル王の元に、銅色の長い髪を頭頂部で束ねた若い王女が歩み寄る。 「おぉっ‼シュラではないかっ、御父上はご健勝かな?」  ジャービル王は杯を横に置くと、短い両腕を左右に広げた。 「ええ、ジャービル様もお変わりなく」  孫ほど年の離れた王女はジャービルの膝に乗り、年老いた王の太い指を自らの股間へと導いた。
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