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今度は、びくりとアイーダの心臓が跳ね上がる。
—ーまさか、そんなはずはない
そう思いたかった。
(逃げなきゃ)
立ち上がりたくても、走り過ぎた脚はガクガクと震えている。
なんとか手で踏ん張ったが疲弊しきった体は鉛のように重たい。
「ッ!?」
「宵の翠玉は、大層初心な生娘だな」
まごまごしている内に、いきなり顎を掴まれた。
アイーダは、そのまま上を向かされる。
(嘘―――っ・・・・・・)
声の主を視界にとらえ、アイーダは凍りつく―――。
きっと、いちばん一対一では会いたくなかった人物。
月明りを背に、赤と青の双眸が怪しく光っていた。
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