第二章 輪廻の種子・麗しの舞姫

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 今度は、びくりとアイーダの心臓が跳ね上がる。    —ーまさか、そんなはずはない     そう思いたかった。  (逃げなきゃ)  立ち上がりたくても、走り過ぎた脚はガクガクと震えている。  なんとか手で踏ん張ったが疲弊しきった体は鉛のように重たい。 「ッ!?」 「宵の翠玉は、大層初心な生娘だな」  まごまごしている内に、いきなり顎を掴まれた。   アイーダは、そのまま上を向かされる。 (嘘―――っ・・・・・・)  声の主を視界にとらえ、アイーダは凍りつく―――。  きっと、いちばん一対一では会いたくなかった人物。  月明りを背に、赤と青の双眸が怪しく光っていた。
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