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――バン‼
みつ子は読み始めて数秒の本を叩き潰す勢いで閉じた。
(うそでしょっ・・・・・・⁉アラビアン・ナイトがこんなハナシだったなんて‼)
中身は男と女のエロ話ばっかり。
アタマから湯気が、カオからは火が出そうだ。
1DKの部屋に差し込む夕焼けの橙色が、エロティックな世界観を投影している様だった。
「借りて来るんじゃなかった・・・・・・」
熱で重くなった頭が項垂れる。
どすんっ‼
「キャアッ‼」
突然視界が真っ暗になる、と同時にモフモフとしたあったかい感触。
「コラ‼クロッ‼」
「んやぁおッ‼」
両手で顔から持ち上げれば『腹時計は、もう夕飯だ‼』と言わんばかりに唯一の同居人である黒猫は訴えてきた。
「しょうがないなぁ・・・。ああぁッ‼」
床には見開き状態の本が落っこちている。
(図書館の本なのに)
座椅子から立ち上がり、冷や汗を搔きながら本を拾う。
(破れてなければいいけど)
パラリ。
持ち上げた瞬間、1枚の紙が舞い落ちた。
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