第三章 剥き出しに 芽吹き 果肉は柔い ☆

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 髪の毛の中で丸まっているムーニャの震えが振動して、自分の震えにもスイッチが入ってしまう。  刻み込まれた恐怖に怯えながらもアイーダは必死で、ヘサームを睨みつける。  しかし、ヘサームは不敵な表情で喉奥で笑っていた。 「化粧が台無しだ」 「~~~~~~ッッ」 (全部アンタのせいじゃない!)  アイーダは心の中でそう叫ぶ。  食卓を持った召使が、ふたりの横を通り過ぎる。 「特別に調合させた鎮静薬と、滋養のある料理だ」 「えっ?」  ヘサームの説明にアイーダは面食らった。  わざわざ大国の王が見舞いにでも来てくれたというのだろうか。  召使は床に絨毯を敷き、食卓を置いた。 「あ、ありがとうございます。いただきます」  どぎまぎしつつ、形だけの礼を述べ、アイーダは絨毯に腰を下ろした。  食卓には料理の盛られた中皿と液体の入った杯、アネモネと紫のスミレが飾られている。 「くくっ・・・・・・。まこと容易く信用するな。媚薬が盛られているとは考えないのか?」 「びッ 媚薬っ!?」  アイーダが添えられたスプーンで料理を口にすると、ふたたび、ヘサームの笑い声が響いた。  ガチャンッとスプーンが食卓に落ちる。 (じゃあ、この薬も)  青ざめながら、アイーダは疑いの眼差しを料理と薬に向けた。
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