第1章 散る徒花

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第1章 散る徒花

 バン‼  みつ子は読み始めて数秒の本を叩き潰す勢いで閉じた。  (うそでしょっ・・・⁉アラビアン・ナイトがこんなハナシだったなんて‼)  中身は男と女のエロ話ばっかり。  アタマから湯気が、カオからは火が出そうだ。  1DKの部屋に差し込む夕焼けの橙色が、エロティックな世界観を投影している様だった。 「借りて来るんじゃなかった・・・」  熱で重くなった頭が項垂れる。  どすんっ‼ 「キャアッ‼」  突然視界が真っ暗になる、と同時にモフモフとしたあったかい感触。 「コラ‼クロッ‼」 「んやぁおッ‼」  両手で顔から持ち上げれば『腹時計は、もう夕飯だ‼』と言わんばかりに唯一の同居人である黒猫は訴えてきた。 「しょうがないなぁ・・・。ああぁッ‼」  床には見開き状態の本が落っこちている。 (図書館の本なのに)  座椅子から立ち上がり、冷や汗を搔きながら本を拾う。  (破れてなければいいけど・・・)  パラリ。  持ち上げた瞬間、1枚の紙が舞い落ちた。
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