勝ちの価値を求める不毛な激闘

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■ ――そうして。  その後もアイツは神がかった役を連発し、これでもかと連勝を続けた。 結局のところ、俺はアイツから一勝すら奪い取ることができず、およそ一時間弱の間、なんと三十七連敗を喫する有様で、ついには賭ける物がなくなったためにお引き取り願い、不本意ながら負けを認めたというわけだった。  ホクホク顔で商品を手に、アイツは意気揚々と帰宅していった。 その姿は非常にむかっ腹の立つもので、ひとりになった後も、しばらくは憤懣やるかたない思いを抱いていた。 ――だが、しかし。 ふと、あることに気づいたために怒りの火はまたたく間に鎮火し、徐々にそれは、憐れみの気持ちへと変化していった。 アイツとの勝負後。  雑然とした室内はキレイになり、住み心地のいい部屋へと様変わりしていた。 なかば渾然一体となっていた物品はおおよそが姿を消し、室内は完璧に、整頓がなされていた。 いわばアイツの持ち帰った「不用品」が部屋をサッパリさせ、負け神様の不毛な勝利が、俺の身辺を整えたというわけだ。 部屋を見回しながら、肩や腕に大量の物品を抱えて帰った姿を思い返す。  勝ちぐせがついたー! とバンザイ三唱し、ニコニコと喜色満面だったアイツ。 天井を見上げ、俺は遠いどこかに対して語りかける。 「――なあ、勝利の女神様。あんたやっぱ、アイツのことバカにしてんな」
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