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エピローグ
――一カ月後の神社のシーンに戻る
「不倫、ですか?」
神主……、洋子は女の話に耳を傾けている。
「そうよ、あの男、最近ぶくぶく太って、おかしいと思ったら……! 許さない! 絶対に許さない!」
「待ってください。殺さなくても解決する方法はあると思います。私と一緒にさがしましょう」
「あなた、本当に宮司さん? なんか人生相談に出てくる先生みたいだけど」
「はい。人を殺めずとも救う道を探すお仕事ですから、そう思われるかもしれませんね」
神主……、洋子のりんとした態度に、女は落ち着きを取り戻し始めた。
「殺さずに……か。いいわ、あなたと話してみようじゃない」
「ありがとうございます」
エンマ大王が下した判断は、みひろを許す代わりに、洋子は現世に戻ってあの神社の神主となり、迷える人々を救うことを命じた。
彼女は意識を取り戻してほどなく、もう何年も神主が居なかったその神社の神主となった。
人が人を殺す。その連鎖を断ち切りたいと思った、エンマ大王の決断である。
今日も洋子は、恨みを持った人の話に耳を傾け、解決へと導くのであった。
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