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男は言う。
「3時、それは1日に2回訪れるものだ。しかし、時間にうるさい人は1日に1回だという」
男は僕に向かって微笑みながら言う。
「どうしてか、わかるかね?僕ちゃん」
男は僕の名前を知らない、だって初対面なんだもん。
「うん、わかるよ」
僕は今、図書館にいる。時計を見て
「3時だ」
と大きく呟いたのだ。そこでさっきの男が近づいてきて僕に言った。
「3時、それは1日に2回訪れるものだ。しかし、時間にうるさい人は1日に1回だという。どうしてか、わかるかね?僕ちゃん」
「うん、わかるよ」
「どうしてかね?」
「午前の3時と午後の3時さ」
「ほっほっほ」
男は僕の言っていることがおかしいかのようにゲラゲラと笑った。
「何がおかしいのさ」
「いやぁ、おかしくないぞ」
「はぁ、、、」
「そうそう」
「?」
「人によっては1週間に1度、それに30分という限られた時間でしかでてこないと言う人もいる」
それはどう考えたっておかしいじゃないか。1週間に1度?それに30分??
「漢字を意識しているからいけないのじゃよ」
それを聞いて理解した僕は図書館の周りの空気とは正反対でまるで釘を打つかのような勢いのある笑いが口から一瞬、溢れ出てしまった。
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