最悪の贈り物

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夜の公園のベンチに一人腰掛け空を見上げる。 「いいことないなあ」と一人ぼやきながら咥えたタバコにライターで火をつける。 「別れよう」 「えっ…?」 彼の口から突然飛び出た言葉に唖然とすることしかできなかったのが2週間前。 別に好きな人ができたから、もう一緒にはいられないと。 3年も付き合ってきたのに、好きな人ができただなんて信じられない! そう言い返してやろうと思った。平手打ちの一発くらい許されると思った。 でも、そんな気持ちは次の彼の発言で霧散した。 「美羽には俺なんかよりもっといい人がいるよ」 でた。別れを切り出す男は決まってその言葉を口にする。ふざけるなよ、自分の身を守るためにそんなこと言いやがって。そう思ったときにはすでに席を立って店を出ていた。
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