3 月と影

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黒は跡継ぎであることに頓着していない。 むしろそういうのは邪魔だと言い捨て、どうにか後継者の地位を押し付けられる相手を探していたくらいだ。 「真紅嬢に伝えて、そのあとはどうする? 真紅嬢が陰陽師にでもならない限り、自身の身を護ることも出来ないんじゃないか?」 「今までの転生に倣(なら)えば、害するものからは、その莫大な霊力で補ってあまりある。近世に生まれた者は真紅同様、幼い頃は出自を知らされなかったようだが、成長してから修行して得た力で、小路の家ごと護っていたみたいだな。小路の家の者となるかは真紅の判断だが、否やと言われれば、持っている霊力のコントロールくらいは教えて、あとは涙雨あたりを護衛につけるかな」 のんびりした解答に、俺は目を細めた。
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