3 月と影

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歴代の月御門でも五指に入る強者と言われた先代・白里じい様を軽く凌駕(りょうが)する黒の力。 黒がこれほどまでに強い力を持つ理由から、小路の中では腫れもの扱いというか、少し距離を置かれていた。 だから余計に、黒に近い存在である俺に懐いて来るんだろう。 ……表現の仕方がおかしいのは承知だ。だがほかにいい言葉が見当たらない。 「……手伝えることがあったら、いつでも言えよ?」 俺が言うと、黒は虚を衝(つ)かれたような顔をしたあと、ふわっと微笑んだ。 「そんときゃ頼むわ」 その面差しは、本当に俺と黒の式によく似ていた。
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