1/6
77人が本棚に入れています
本棚に追加
/416ページ

Side真紅 「だから服を脱げと言ってるだろうが!」 「この状況で誰が脱ぐか! 変態!」 「この状況だから言ってんだろ! 血まみれで帰る気か、バカ!」 とんでもないことを言うヤツを前に、私は自分の身体を抱きしめるようにして叫びかえす。 なんでか知らないけど、私は病院からの帰り道の林道で倒れていて、意識が戻ったら血だらけで、目の前には見知らぬ男がいて、こんな変態なことを言ってくるんだ。 まさかこいつ……通り魔とか⁉ に、逃げなくちゃ……そう思うのに、私は服を真赤に染めて、しかし立ち上がれもしない。 出血が多すぎるのか、目の前がぐらぐらしている。 そんな私の前に座り込んでいるのは、月でも切り取ったようなパッと見は美麗な男。 言っていることだけ聞いたら通報モノの不審者だけど。 私と不審者が叫び合う――この状況の理由も、実はよくわからない。
/416ページ

最初のコメントを投稿しよう!