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『んー、眠くないしなぁ。勉強でもしよ』
眠るのは惜しいし、あたりが静かな時がチャンスだ。
轟々となっている風の音も、人の話し声に比べたら全く気にならない。
『……。』
黙々とテキストを進める。関数が、グラフとなってノートに並ぶ。
外はまだ、暗い。
階下はまるでこの家が独り暮らしであるかのように静まり返っている。
自動車の音一つしてこない窓の向こうは、ひんやりとした空気が漂っているのだろうか。
そもそも、今日は何日だっけな、と片隅で考える。
バイトのシフトは、誰と誰だろう。
集中しているんだか、していないんだか、分からないや。
三時っていうのは、早すぎて、いや、遅すぎて?、勉強に身が入らない。
【……ぁ…】
ガタッと音を立てて椅子から立ち上がる。
何か、聞こえた。
【…あた、し…】
背後から。…いや、部屋から?
『え、』
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