今何時?

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カチャ、……。 【あれ、?アイツは…ギャァァァア】 一瞬だった。 まさに瞬き程度の、コンマ一秒。 『お前だ』 死んだあいつが、私の部屋にいる。 “また、私はアイツの心臓を刺している” グシャグシャに潰れた体でこんなところまで、なんてご苦労な話。 あのまま雪山に潰れていればよかったものを。 【なんで!!あた、しは化け物になったんだ。お前が昔、あたしに話した、あの化け物に】 あのこはもがく。叫ぶ。執拗に、無様に。 私はまだ、手を引かない。 握った刃を、さらに深く沈めようとしている。 『よく覚えてたじゃん。バカのくせに』 もう一度振りかぶる。 【…ウギャァァア】 あのこ、は覚えていないのだろうか。 『化け物ってね、悪事を原力に出てくるモノだって言ったよね。つまり、お前は私の彼を奪ったって認めたことになる。そして、』 私が話さなかった、化け物の別の姿。 『化け物は、化け物を殺せない。さらには化け物を終われない』 【え、どうい、う】 それにしても、知らなかったな。死ぬ瞬間に化け物が生まれると、自分の魂を現世に引き止めておけるなんて。 意思と合わさった化け物が、生まれるなんて。 本来、自分を襲ってくるものなのに。 そんなカラクリだったんだ。 なら、別に生を縋らなくてよかったゆだ ふふ、 まあどっちにしても。 “私は化け物に勝ったから関係ないか”
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