午前3時の訪問者

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私は立っていることができず、膝をついて地面にうずくまる。 うつろな目で前を見ればその人の背中はどんどん遠ざかっていく。呼び止めようと思うのに、しかし私は動けない。 「なに、これ」 どうしたらいいのか分からずに、震える手でナイフを手で包みこめば、ぬるっとした感触がして気持ちが悪かった。血って本当に赤いんだ、と思っていると、みるみるうちに腹部からじんわり鮮血があふれ出し、私の服と手を真っ赤に染めていった。
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