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呆気ない春
あらゆる意味の底辺で
馬鹿で屑な俺が
大学に入学した春、
クソみてぇな女だった
母親が死んだ
死因は、交通事故だった。
あまりにも呆気なく逝ってしまったものだから、いつか言ってやろうと溜めていたはずの言葉は何一つ声にならなかった。
むしろ、忘れてしまった気がする。
何もかもの感情を。
母親の死に顔はとても綺麗で轢いてくれた相手に感謝することもなく、被害者としてそれなりの慰謝料だけ大人しく受け取っておいた。怒りは沸かなかったが弁護士の声と手渡された封筒の冷たさと素っ気なさに、こいつらも大概屑なのかもなあとは思った。
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