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友人の木乃香からその話を聞かされたのは、夏休みも終盤に差し掛かったお盆の夜だった。
たまには二人で食事に行こうと誘われ、あたしは二つ返事でオーケーをしたのだけれど、まさかそのときはこんな気持ちの悪い話を聞かされる羽目になるとは思ってもいなかった。
駅前にあるファミレスで待ち合わせをして、そのままそこで食事をすることにしたあたしたちは、それぞれ食べる物を注文し、暫くの間は他愛のない話を交わしながら楽しい時間を過ごしていた。
あからさまな変化が起きたのは、あたしの注文したサラダがテーブルに置かれた瞬間だったと思う。
そのサラダの一番上に載せられた、輪切りの真っ赤なトマト。
それを見た途端、木乃香の表情がみるみるうちに蒼白になっていった。
突然どうしたんだろう。具合でも悪くしてるのだろうか。
心配になりながらあたしが声をかけると、木乃香は小さくフルフルと首を振り、「違うの……」と掠れたような声で呟きを漏らした。
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