午前三時

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午前三時

時刻は3時を回ったばかり。 今の僕の心情は色んな感情が絡み合ってぐちゃぐちゃになっていた。 お姉ちゃんと会えた喜び、懐かしさ、会えたのが自分だけだという申し訳なさ、そして幾ばくかの嫉妬と後悔。 いいな、お姉ちゃんはやりたいことがはっきりしてて。 僕はお姉ちゃんとの最後のやり取りをもう一度思い出していた。 僕は言った、「今幸せだよ」と。 僕は言った、「一生嘘をつかない」と。 自殺した後の嘘だから、お姉ちゃんも許してくれるよね? 縋るように手鏡をもう一度覗き込んでみた。 自分の顔の前に持っていた手鏡からは、やっぱりお姉ちゃんは消えていた。 そこに写るのは僕の顔ではなく僕の後ろの壁。 カレンダーが剥がれ落ちた場所には無数のお札が貼ってあった。 事故物件にお札はつきもの。あいにく、僕には効果がないみたいだけど。 自分の顔をペタペタと触る。そっか、僕ってイケメンだったんだっけ。自分の顔をもう何年も見ていないから忘れていた。 ねぇお姉ちゃん、僕は一体どうすればいいんだっけ? 寂しすぎて首を吊っちゃったけど、僕がやるべきことはこれじゃなかったみたいなんだ。もう、遅いんだけどさ。 お姉ちゃんが成仏した3時を回って、もう二十分が過ぎた。僕はまだまだ、成仏できそうになかった。
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