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席に着く(ボクは椅子の背もたれに掴まって羽を休めるている)と、メニュー表をギャルソンが持ってきてくれた。メニューを開いてテーブルに置いてくれたギャルソンに声をかける。
「包帯でイッパイだね!」
「ハロウィンの特別仕様でございます」
胸に手を当て、優雅にお辞儀をする。その所作一つ一つに、つい見惚れてしまう。きっと女の子からキャーキャー言われてそうだなぁなんて余所事を考えていたら、ギャルソンが注文票を手に尋ねてきた。
「ご注文はいかがいたしましょう」
「アフタヌーンティーセット!ボクとこの子の分!」
ボクが答えると、ギャルソンはエリーの方を向いた。エリーがこくりと頷くのを確認して、「承知しました」と答えてから注文票に書き込んでいく。
「お飲み物はいかがいたしましょう?」
続けての質問に、ボクは羽を休めることも忘れて、ギャルソンの顔の前まで飛行した。
「ネ、ネ、ネ、ネ、ネ!カエルのタマゴの入った泥水アル?この子に飲ませてアゲテ!コノ子よりもチョット大人の女の子が、皆んな飲んでるカエルのタマゴ!」
精一杯捲し立てるけれど、ギャルソンは腰を曲げて頭を下げてしまう。
「申し訳ございません。生憎、当店ではカエルの卵を食用として仕入れておりません」
「ソッカァ……」
悲しくて、思わずそのままテーブルに着地してしまう。
せっかく、エリーに人間の女の子の気分を味わってほしかったのになぁ……。
しょぼくれていると、ギャルソンが「しかし」と前置きして顔をあげた。
「その代わりですが、見た目はカエルの卵に非常に近く、お嬢様の御年代の方々が好んで注文する飲み物ならごさいます」
「ホント! ? ソレちょーだい!コノ子に飲ませてあげるノ!このお店で一番オススメのが良いナ!」
「かしこまりました。……これはお嬢様の分で?」
「ウン! ボクは、冷たいエスプレッソ!ストローはいらないや!」
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