アフタヌーンティー

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「お待たせしました。こちらはお飲み物の当店オリジナルのタピオカミルクティーでございます」 「ありがとう。あら……」  グラスの中には、薄茶色の液体の中にカエルの卵に近い黒いツブツブが沈殿している。そこに刺さっている太い黄色のストローの彩度がとても高く感じる。  目の前に置かれたものを見て、エリーは呟いた。 「本当に泥水に入ったカエルの卵みたいね」  続けてギャルソンがボクの前に白いカップを置く。 「こちらはエスプレッソでございます」 「アリガトー!」  ボクも彼女の真似してお礼の言葉を言うと、ギャルソンはぺこりと頭を下げた。 「これがネ、最近流行ってるんダッテ!」  ボクの声に促されたエリーは両手でグラスを持ち、まじまじと中身を見つめてから口にストローをつけた。一口吸うとエリーは「ふふ」と声を零した。 「ミルクティーは充分おいしいわね。甘さが控えめでまろやかな味がするの。きっと、ホットでもおいしいと思うわ」  ストローで黒いツブツブを探しながら、エリーは吸い続ける。  半透明のストローの下からエリーの唇まで黒い何かが通っていくのを見つめる。  エリーの口の中に入ったとき、「ん!」と声をあげる。疑問に思いながら租借をくり貸すモグモグと口を動かしながら表情が段々柔和に解けて行く様子がわかる。ゴクンと飲み込んだのを確認して、エリーは漸く口を開いた。 「とてもモチモチしているのね!甘くて美味しいわ!!」 「お褒めの言葉、光栄でございます」 「このタピオカ……が甘いから、ミルクティーの甘さは控えめなのね」 「左様でございます」  ギャルソンとエリーは心底楽しそうに会話を続けている。  エリーの笑顔が見られてボクは非常に満足だ。  コップの縁に降りて、ちろりと舐めた。  うん、ちょぴり苦いや。格好つけた大人の味がする。
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