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月を目指して
とにかく、上を目指そう。あの月をめがけて、とりあえず一歩ずつ進んでいけば、きっとたどりつくはずだ。
ぼくは、少し前に外出許可をもらったときの記憶をたぐりよせ、小高い丘の上にあるバスステーションに行くことにした。
たしか、あそこからシャトルが出ているはず。もより駅からまたかけてきて30分くらい経ったかな。もう10時近くになるかも。10時台でもまだ便があったよね。
自分自身をなだめるように、そう心の中でつぶやく。あたりを見まわしてみると、今までまばらだった街灯が、だんだんとその数を多くしていく。さらに心なしか、それ一個のかがやきもどんどんと大きくなってきているような気がした。その分、夜空で今までぼくを導いてくれた、満月の光は少しずつ小さくなってしまったのだけれど。
ネオン光りかがやく道をくぐり抜け、バスステーションをのぞいてみた。けれども、バスステーションはさっきのもより駅のように、まっくらで営業していないようだった。
おかしいなあ。今日は、交通機関ぜんぶが休みの日なのかな。ぼくはしかたなく、来た道を少し戻って、おなかがすいたので、子どもでも入れる店を探したのだった。
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