よるのだっしゅつ、つきをめざして

もう遅い

　ここは再開発地区だから、たぶんここらへんの地図はあのロボットたちのデータにはないはず。うまく巻けたわね。

　お姉さんはほこらしげにぼくに向かって言うのだった。

　お姉さん、本当に何から何までありがとう。いつか、恩返ししなくちゃ。

　あたしには、いいのよ。その代わり、お父さんにたくさん、恩返ししてね。あたしはね、もう恩返ししたくても。ううん、なんでもない。それより、きみのお父さんお母さんはどこにいるのかな。

　お姉さんに聞かれて、ぼくはまっすぐ、ある方向を指した。

　あれ、お空って、きみの親ももしかして。