プロローグ

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プロローグ

「どうして……」  木の影に隠れていた私は、口を抑えて、ただ涙を流すしかなかった……。  厭らしいリップ音と吐息と囁き声が私の鼓動を微かに揺らしてくる。  誰かが口づけをしているのだ。  私だってその口づけをしている者達がどこかの恋人達だったなら、何も思わずに静かにその場を去るだけだった。  だけど今は違う。  ずるずると足が力を失って、その場で尻をついた。  だって。  ──今、私の後ろで、深いキスをしているのは、   ──私の想い人と、私の親友なのだから。
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