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結局、気合入ってると思われるのもあれなので、パーカーにジーンズというラフな格好で行くことにした。
それでもメイクは時間をかけて丁寧に仕上げた。
わたるお兄ちゃんに可愛いと思われたいからなのか、
奧さんに引けを取らないためなのか…
自分でもよくわからないけれど。
買い物から帰り、出かける準備をしている母に
「ハルも連れてくの?」と聞くと、
「うん。恵子さんも“うちのヒナと遊んでほしいからハルちゃんもどうぞ”って言ってくれてるから」と答えた。
お兄ちゃんの実家でも“ヒナ”という名前のメスのチワワ を飼っている。
ちなみにうちのハルはパグ。おばさんには“ちゃん”付けで呼ばれているが立派なオスだ。
「お父さんは今日会社の送別会があるみたいだから、私たちだけで行くわよ」と言って、もう玄関で靴を履いている。
ハルを抱き上げ出て行く母に続き、私もスニーカーを履いて家を出た。
玄関の前まで来ると、ハルを抱える母の代わりに私がチャイムを鳴らす。
少し間が空いてから、
「はーい」という高い声とパタパタと廊下を走る音が聞こえてきた。
ガチャと言う音を立てドアが開く。
「すみません、お待たせしました」
と言って出てきたのは、
わたるお兄ちゃんの奥さん、美玲さんだった。
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