俺とお前と犯人と

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「警部! 二人が到着しました」  警察官1が警部に告げた。  警部の顔は苦虫をつぶしたような顔だ。  俺たちがそんなに邪魔かよ。  俺は相棒の顔をちらりと見た。相棒は気にしてないようだ。  よかった、後輩は大切にしないとな。  俺たちは現場の奥の方へ進んだ。   俺たちはエービーコンビと言われている。 俺がエーの栄一。あいつがビーのビルだ。 あいつがビルと言われている理由は知らない。 知りたかったら今度聞いておくよ。 「被害者は? 」 俺は聞いた。 床に寝そべっているのが被害者だ。 見ればわかる。 でも一応聞くのが規則だ。 なぜならば、一人とは限らないからだ。 「女性一人。腹部を刺されています。 」  近くにいた警察官2がおれに教えた。 「それと……ダイイングメッセージのようなものが」 「なに! ダイイングメッセージだと! 」  俺とビーは色めきだす。 そうこなくては!来た甲斐がない。 「あれです」  警察官2は案内する。 「あれ? あれですか?」  相棒のあいつが先に反応した。 「あの二つの記号のような?」  床には指で書いたと思われる、赤い血文字が残されていた。 英語のUを二つ書いたのか。それとも…… 「おしり!これ、おしりじゃね!」  俺はつぶやいた。 これで一気に事件は解決だ。 「いや、先輩。これはフタコブラクダのこぶですよ」 「どう考えてもおしりだろ」  俺とビーは意見を出し合う。 「きみたち、ふざけているのか」  警部がやってきて眉をひそめた。 「そんなにふざけたいなら、来なくていいい!帰れ!!」   警部の雷が落ちた。   俺とあいつは全く心に堪えてなかったが、「はあ」とだけ返事をした。返事をするのが社会人のたしなみだ。覚えておいてほしい。いかなるときも返事は大切だ。 「どうみてもあれはmだろ!」   警部は俺らの背中越しに吐き捨てるようにいう。   男の更年期なのかもしれないな。俺は理解あるぜ。 男ってつらいんだ。 「フッ、もう事件は解決さ」  俺は昨日きったばかりの前髪をさらりと流した。  きまった。我ながらかっこいい。 「先輩もわかったんですね」  ビルがいう。   後輩のくせにどこまでも上からの発言というのが気に入らないが、俺は大人だ。そんなことでは怒らないさ。 「じゃ」   俺は「帰るぞ」と相棒のビーにいうと、現場を立ち去ろうとした。 「おい! おまえら!! 勝手に帰るな!! 」  警部の声が現場に響く。 「犯人が分かったなら、言っていけ」   ドアを開けようとしている俺たちにいう。  バカだな、言うわけないじゃないか。そしたら面白くないだろう。 「はははは」   俺とビルはバタンとドアを閉めた。
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