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神様へおねがい
猫を初めて飼ったのは11歳の時だった。
通っていた小学校がカトリックで、朝礼、終礼に「おいのり」をする決まりだったが、5年生に上がってから、私は必ずマリア様に「仔猫を一匹ください」とお祈りしていた。
5月のある日の下校時間、校門を出てすぐ隣の高円寺教会の茂みに、仔猫が三匹、もたもたしているのを見つけた。一緒にバス通学していた亜寿美ちゃんと私は柵に駆け寄って手を伸ばすと、中の一匹がニィニィ言いながら近づいてくる。私はドキドキしてその子猫を柵のすきまから引きだした。
子猫はひよひよしていて、湿って温かい。
11歳の私の掌にスッポリ入ってしまう大きさだった。
私は制服のベレー帽を脱ぐとその中に仔猫を入れて、通学路を足早に歩き始めた。
「どうするの?」と亜寿美ちゃん。
「私、毎日お祈りしてたの、猫をくださいって、それがこの子だと思うの」
「…飼うの?」
「うん」
確信を持って、私はそう答えた。
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