猫ヶ原のイタちゃん

神様へおねがい

　そんな中、私は毎日、仔猫をくださいと神様にもマリア様にも祈っていた。
そしてマンションで暮らし始めて２ヶ月で「おいのり」が叶ったのだ！

　仔猫を連れて帰ると、しかし母は迷惑そうに仔猫を見下した。
猫はあんまり好きじゃないという。家に上げてはいけないと言って、仔猫は首にひもを結ばれ、玄関の「たたき」から出られないくらいの長さにしてドアのノブに結び付けられた。ドアが開閉される度に、紐に引っ張られてあっち行ったりこっちに行ったり。仔猫は所在なさげにニャアニャア鳴いて玄関のたたきにウロウロ、そのうち、私が脱いだ革靴の上にうずくまって寝てしまった。その姿のかわいいこと！私は嬉しくて宿題も玄関でやった。家政婦さんにオカカをかけたご飯をもらい、あげると仔猫は首を傾けて、くちゃくちゃ平らげる。皿のミルクも小さい舌で上手に飲んだ。私は嬉しくてうれしくて、玄関に腹ばいになって飽きることなく仔猫を見た。