神様へおねがい

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 仔猫の愛くるしさに、母もとうとう3日目には家に入れるのを許してくれた。すると仔猫は好奇心の強い性格らしく、警戒しながらも家の中を嗅ぎまわり、散々調べ終わると、ちゃっかり私の勉強机の下に入って落ち着いてしまった。  机は使わない時は椅子が押し込んであるので、狭い隙間が落ち着くのか、仔猫は椅子によじ登って丸くなった。私は一緒に寝たかったけど仔猫は出てきそうもない。それに母に布団に入れてはダメ、と言われたので古タオルをもらって椅子に敷いてやった。すると、「あ、ここが私のベッドだね!」というようにタオルにちょこんと乗って丸くなった。  その晩、私は暗闇で目を凝らし、ずうっと仔猫の耳の間から背中を撫でていた。仔猫の体温は高く、鼓動は人間よりずっと早い。フワフワの毛の中身は細い骨が判るほど痩せて小さい。私は可愛いのと嬉しいので涙が出そうだった。
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