神様へおねがい

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 そのうち仔猫の体全体が「ずうう、ぶうう」と妙な音を立てて震えだした。 びっくりして様子を見たが、仔猫は目を閉じて顎を自分のお腹に埋め、たまに湿った鼻先を私の手に押し付ける。苦しそうな様子はない。不安になって抱き上げると、にゃあと言って音は消える、寝かせると再び「ぶうう、ずうう」と震える。  病気になったんじゃないか!私は慌てて、母に「猫ちゃんがヘンな音たててる、病気じゃない?」と訴えてみたが、「なんでもないんじゃない、猫にばかり気を取られてないで宿題しなさいよ」と見てもくれない。母は仕事も家事もと気が急いてるうえ、父との関係に神経を使い、私の日常に起こる小さな問題になど、目を止めてはくれなかった。 猫の不思議な「ぶうぅ、ずうぅ」は、が安心した時やご機嫌な時に「喉をゴロゴロならす」という現象だと、しばらく後になって家政婦さんの上地さんが教えてくれたのだった。
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