10 デボーション

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 起きなくていいって言われたけど、ゆっくり体を起こしたらお兄ちゃんの飲みかけなのかな?ペットボトルやコンビニの袋が見えた。  ここは私の部屋。 やっと頭が起きてくれたのか、今までぼんやりした情報ばっかりだったのに考えられるようなってきたみたい。 「起きられたか?」 「うん。ちゃんと起きられたよ」 「そうか……ほら、冷たいのはダメだからな?ゆっくり……」  冷たくないお水がいっぱい入ったピッチャーとマグカップを乗せたトレーを持って、お兄ちゃんがベッドの端に座るから、少しだけ体をずらして座りやすくしてあげたら、ありがとうって撫でてくれた。  マグカップを受けとるとゆっくり注いでくれて、言われた通りゆっくり飲んだのに変なところに入ってしまって咳き込んでしまう。何とかベッドにはこぼさなかったけど、危なかった。  どうして、お水飲むくらいでお兄ちゃんはこんなに心配してくれるんだろう。  どうしてそんなに、痛そうな顔なんだろう。 「なんじ?」 「さっき、午後の1時過ぎた」 「ごご……おみせ、は?」  咳き込んで、焼けたように痛む喉。 トントンと優しく背中を撫でてくれるお兄ちゃんは 「今日は任せてあるから、心配するな」 安心させるようにゆっくりした口調で言った。  どうにも頭の中が、ぐちゃぐちゃでまとまらない。まだ寝てるのかもしれないとほっぺをつねってみると 「……痛い……」 「……そうだな」 夢のなかでも痛いって思うのかわからないけど、今は痛いから起きてると思うことにした。  午後の1時を過ぎた。 午後の1時……。 「お兄ちゃん、これやっぱり夢だよね?」 「えっと……ひま?」 「だって私、おうち帰る途中だったもん」 「あ……そうか。ひま。あのな?」  お兄ちゃんは教えてくれた。 頭をゆっくり撫でてくれながら、教えてくれた。  ヨシムネ君がタクシーで送ってくれたって。 また熱が出ちゃって、途中で寝ちゃって。 「それが昨日……途中で何回か起きたけど熱高かったから」 「そうなの?」  あとでヨシムネ君に、お礼とごめんなさいのメールをしなきゃ! そう思って携帯を目で探したけど、近くにはないみたい。 いつものテーブルにも、枕元にも……。 「どうした?」
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